リー・アーロンが新譜『 Fire And Gasoline』から「Tom Boy」のMVを公開しました。発売は3月25日ですが日本盤の販売はあるのか……?
私も実はリー・アーロンに関しては名前ぐらいしか知らなかったのですが、1984年『Metal Queen』というアルバムでデビューしたカナダのロックシンガーです。
ネットで調べてもほとんど情報がなく、たまに彼女について書かれているのを読んでみても、申し合わせたかのように「レコード会社のプッシュがあったのに売れなかった」と書かれています(泣)
そんな彼女の12年ぶりの新譜が『Fire And Gasoline』です。その中の「Tom Boy」という曲のMVがなかなか良かったので紹介してみようと思います。
Tom Boy
どや、おばさん頑張っとるやろ!
出だしを聴いた時は「アメリカのロックにありがちなアレか」と一瞬聴くのを止めようかと思ったのですが、少し我慢して聴いてみると徐々に盛り上がって来てサビのあたりではシンガロング出来そうなノリの良いわかりやすいロックになります。わかりやすさって大事よね。わかるわ。
更に聴き進めてみると爽快感のあるコーラスワークと典型的なアメリカンロックには少し合わないかもしれないラウドなギターソロなども飛び出してきて個人的には評価高いです。最初はおとなしくしていたのに徐々に我慢できなくなっちゃったんだねって感じが最高。
一般向けを狙って作られたであろう少しオシャレな映像もグッド。リー・アーロンの体型や動きがやや残念に見える箇所もあるけど、54歳という年齢を考えれば最高に頑張ってるよ!
え、全然「Metal Queen」っぽくないって? 実は彼女が「Metal Queen」だったのってごく初期だけで以降はBON JOVIのようなアメリカンハードロック路線に進んで行きます。ちなみにさっきからアメリカンロックを連呼していますが彼女自身はカナダ人です。ジャンルというか方向性としてのアメリカンロックということで。
ではそのアメリカンハードロック路線から幾つかMVを紹介します。
Lee Aaron official video 'Hands On' 1989
懐かしい雰囲気満載ですね。この音! この極彩色の色使い! タイトルにあるように、おそらく1989年に作られたものだと思われますが、当時でもこの映像はやや古臭くないか?(苦笑) でも音楽は好きだなぁ。映像の方も嫌いじゃない。
Lee Aaron official video 'Whatcha Do To My Body' 1992
こちらも典型的なアメリカンハードロックなミドルテンポでノリの良い曲ですね。一回聴いたらすぐに一緒にサビを歌えるレベルのわかりやすさが良い。それでいて単調にならないようにアレンジや歌い方を工夫しているのがプロの技ですね。
勘の良い方はお気づきかもしれませんが、ここまで典型的なアメリカンハードロックを演っていると90年代のグランジ・オルタナティブの台頭によって彼女はシーンから居場所を奪われてしまいます。……というのが一般的な彼女の売れなかった理由だと言われているようです。
でもそれだけが理由だったら、彼女自体はシーンから遠ざかっても、もっと曲自体は有名でも良いと思うんですよねぇ。
個人的には彼女が売れなかったのは個性がなかったからだと思います。
わかりやすくてノリやすい典型的なアメリカンハードロック自体は魅力的なのですが、彼女じゃないと聴けないという個性がないとなかなか注目されないんじゃないかな…と。
あと彼女のハスキーな歌声からかはわかりませんが、80年台後半のMVやライブを見ると、結構男臭さというかマッチョ系のイメージで売りだそうとしている傾向が見られます。せっかく美人さんなのにねぇ。
男性的なバンドだったらそれこそ男性のバンドを見ればいい訳で、元々個性のない楽曲をせっかくの女性であるという最大の個性を潰して歌ってしまったというのがイマイチ彼女の曲が後世に残らなかった原因ではないかと推測しましたがどうでしょう?
そう考えると、今回の「Tom Boy」のMVはわかりやすさという長所はそのままに女性という個性もアピールできているのでなかなか良いんじゃないかと思います。
年齢的に再ヒットはないと思いますが、これがきっかけで上手くリバイバルブームに乗ってまたメタル的なアルバムをリリースしてくれるようになると嬉しいです。
メタル期の彼女のMVはオフィシャルチャンネルにないので紹介しませんでしたが、なかなか良いですよ。本当に何で売れなかったんだろう。やっぱり個性か…。
これを見ると最近の彼女はカントリー・ロックの方向に進んでいるっぽいですね。やはりアメリカのロックシンガーは一旦カントリーに行く法則があるのか。
Fire and Gasoline promo clip #2
コメントする